グインの行方
2003年2月5日ええ、行方。
前は読んでた。面白かったよ。5冊くらいづつまとめて買って読んだこともあったっけ。懐かしいなあ。この話が完結するまでは、死ねないとまで思ってたこともある。が。
今は読んでない。文庫買わなくなってからもう数年経つが、最後に買った数冊も買うだけ買って、実は読んでなかった。積読?
いつ頃からかな。ヘンだと思い始めたのは。
イシュトヴァーンがモンゴールにうまく潜り込んだころからかも知れない。
いくら新興国とはいえ、どこの馬の骨ともわからない怪しげな男を、建国当初からの廷臣たちが賞賛するばかりで、疑いを持つようなそぶりすらない。ありえない、よねえ。
カメロンが沿海州のヴァラキアだっけ、そこを出奔してイシュトヴァーンのためにモンゴールの将軍になる、というのなんて極めつけ。政治ってもんのシビアさをまるで無視したこの展開。おお、なんという・・・。
そもそもイシュトヴァーンって、己の奸智と才覚だけで国一つを手に入れてやるってんで生まれ故郷を飛び出していったんじゃないのか? それがいつのまに、やさしいオッサンに見守られていなくちゃ安心できないようなヘタレ野郎になってしまったのか。今思えば、愛は愛でもスミレ色の愛のためだったのね。ハハ。
イシュトヴァーンが先に「儚げ」になりだしたんだっけ。ナリスは足をちょん切られたあとかな。とにかく、生まれや育ちは違っても野望に突き動かされて生きてきたこの二人が、ことごとく「庇護欲をそそる儚げなヒロイン」へ変貌していくのを目の当たりにして、もうダメだと思ったんだった・・・。
アタシはね、夢見てたですよ。
血刀を下げたイシュトヴァーンがパロの王城に土足で踏み込んでくるのを。そして、リンダを奪われるまいと立ちはだかるナリスを切り伏せ、血まみれの手でリンダをモンゴールへ連れ帰る、という幻想を見つづけていた。
ゴーラの王に成り上がったイシュトヴァーンが、用済みとばかりにアリを片付けたことをきっかけに凋落し落ちぶれていく姿を見るのを。イシュトヴァーンが嫌いってわけじゃなく、イシュトヴァーンが死んで、リンダがグインに嫁ぐところでこの物語は完結する、とずーっと思ってきたわけだ。
で、そんな幻想を見つづけて見つづけて、それが本当の幻に終わりそうだと思ったとき、アタシの中のグインサーガは未完の大作としてある意味完結してしまったんだった。あー・・・。
現在のグインサーガは、何を生み出すことも、かつてはあれほど熱望していたノスフェラスへの道行きをかなえることも無いままナリスは死に、次の巻ではお葬式だそうで。精々悼んでやってください。
いったい彼は、グインサーガに何をもたらす為に創造されたのか。真実の愛を体現するため、って言うんじゃあるまいよ。ましてあんなハンパな愛のため、なんて言われちゃナリスも死んでも死にきれまい。
物語を引っ張る重要な「脇役」だと思ってた。ああいうキャラを惜しげもなく使い捨てるからこそ、大河小説に厚みが増すんじゃないのか。騒乱のタネを蒔くだけで刈り取ることもできないまま死ぬことを許されるような、そんなハンパなキャラクターでしかなかったのか。そうじゃない。少なくともリンダと結婚したあたりまでの彼はそんなんじゃなかったはずだ。今はただ、かつて存在した「永遠に満たされない野心家アルド・ナリス」の死を悼むばかり。本編で死を迎えるだいぶ前に、彼は既に死んでいたんだけど。
ついでに、作者によるセルフパロディも同人誌の形で公表されており。しかもその内容を正史と呼んでるそうで、もう何を悲しんで良いやらわけわからん。いったいグインはどこへ行くのか。ここまで逸れた話のオチをどうつけるつもりなのか。
別の意味で、「この話が完結するまでは死ねない」。
前は読んでた。面白かったよ。5冊くらいづつまとめて買って読んだこともあったっけ。懐かしいなあ。この話が完結するまでは、死ねないとまで思ってたこともある。が。
今は読んでない。文庫買わなくなってからもう数年経つが、最後に買った数冊も買うだけ買って、実は読んでなかった。積読?
いつ頃からかな。ヘンだと思い始めたのは。
イシュトヴァーンがモンゴールにうまく潜り込んだころからかも知れない。
いくら新興国とはいえ、どこの馬の骨ともわからない怪しげな男を、建国当初からの廷臣たちが賞賛するばかりで、疑いを持つようなそぶりすらない。ありえない、よねえ。
カメロンが沿海州のヴァラキアだっけ、そこを出奔してイシュトヴァーンのためにモンゴールの将軍になる、というのなんて極めつけ。政治ってもんのシビアさをまるで無視したこの展開。おお、なんという・・・。
そもそもイシュトヴァーンって、己の奸智と才覚だけで国一つを手に入れてやるってんで生まれ故郷を飛び出していったんじゃないのか? それがいつのまに、やさしいオッサンに見守られていなくちゃ安心できないようなヘタレ野郎になってしまったのか。今思えば、愛は愛でもスミレ色の愛のためだったのね。ハハ。
イシュトヴァーンが先に「儚げ」になりだしたんだっけ。ナリスは足をちょん切られたあとかな。とにかく、生まれや育ちは違っても野望に突き動かされて生きてきたこの二人が、ことごとく「庇護欲をそそる儚げなヒロイン」へ変貌していくのを目の当たりにして、もうダメだと思ったんだった・・・。
アタシはね、夢見てたですよ。
血刀を下げたイシュトヴァーンがパロの王城に土足で踏み込んでくるのを。そして、リンダを奪われるまいと立ちはだかるナリスを切り伏せ、血まみれの手でリンダをモンゴールへ連れ帰る、という幻想を見つづけていた。
ゴーラの王に成り上がったイシュトヴァーンが、用済みとばかりにアリを片付けたことをきっかけに凋落し落ちぶれていく姿を見るのを。イシュトヴァーンが嫌いってわけじゃなく、イシュトヴァーンが死んで、リンダがグインに嫁ぐところでこの物語は完結する、とずーっと思ってきたわけだ。
で、そんな幻想を見つづけて見つづけて、それが本当の幻に終わりそうだと思ったとき、アタシの中のグインサーガは未完の大作としてある意味完結してしまったんだった。あー・・・。
現在のグインサーガは、何を生み出すことも、かつてはあれほど熱望していたノスフェラスへの道行きをかなえることも無いままナリスは死に、次の巻ではお葬式だそうで。精々悼んでやってください。
いったい彼は、グインサーガに何をもたらす為に創造されたのか。真実の愛を体現するため、って言うんじゃあるまいよ。ましてあんなハンパな愛のため、なんて言われちゃナリスも死んでも死にきれまい。
物語を引っ張る重要な「脇役」だと思ってた。ああいうキャラを惜しげもなく使い捨てるからこそ、大河小説に厚みが増すんじゃないのか。騒乱のタネを蒔くだけで刈り取ることもできないまま死ぬことを許されるような、そんなハンパなキャラクターでしかなかったのか。そうじゃない。少なくともリンダと結婚したあたりまでの彼はそんなんじゃなかったはずだ。今はただ、かつて存在した「永遠に満たされない野心家アルド・ナリス」の死を悼むばかり。本編で死を迎えるだいぶ前に、彼は既に死んでいたんだけど。
ついでに、作者によるセルフパロディも同人誌の形で公表されており。しかもその内容を正史と呼んでるそうで、もう何を悲しんで良いやらわけわからん。いったいグインはどこへ行くのか。ここまで逸れた話のオチをどうつけるつもりなのか。
別の意味で、「この話が完結するまでは死ねない」。
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